“変額年金保険” が日本から消える?
変額年金保険を「確定拠出年金の補完的な財産形成手段」と位置付けることもできます。
「さまざまな投資信託が用意されて投資先を自由に契約者が指示できる」という意味で、確定拠出年金と同じ仕組みだからというのがその根拠です。
違うのは、確定拠出年金は(掛け金が所得控除になるという税制上のメリットがあるために)拠出できる額に制限がありますが、変額年金保険は投入する金額に制限がなく(5億円まで可など)、一括で資金投入をすることもできるという点です。
ですから、確定拠出年金で可能な範囲を超えて大きな財産形成を目指す人にも、大企業に勤めていなくて確定拠出年金の制度に無縁な方にも、財産形成の選択肢が広がったと考えることができたのです。
2008年の金融危機では、投資信託に資金を入れっぱなしで放置しておくことがどれほど危険なことかが明らかになりました。でも確定拠出年金やこの変額年金保険であれば、同じ投資信託で運用しながらも、ファンドを無料で移動(ファンドスイッチ)することができるので、リスクを感じたら資金を安全なところに退避させることができます。
そんな大きなメリットを持っていたこの変額年金保険だったのですが、前回に書いたとおり、ファンドスイッチができないものばかりになりつつあります。日本人が「ひとつの大事な財産形成の機会を失った」と書いたのは、そういう意味でした。
金融危機が本格化したころだったでしょうか?昨今の「元本保証型の変額年金保険が、株価の下落によって生命保険会社の財務を脅かす可能性」について報道されていました。
元本保証をするということは、たとえば株価が下がって運用成績が下がっても生保が損失補てんを行うという意味です。もちろんそうなった時に生保が損失を被らないように、何らかのヘッジ手段を講じているはずです。それが先物やオプションを使ったものか、あるいは再保険的なものかは(公表されていないので)知りません。
ですが、財務が脅かされるというのが本当だったとしたら、ヘッジが不完全であったということでしょう。たぶんそれは、利益を確保するために、ヘッジにかかるコストを惜しんだ結果なのかな?という風に思います。
そんなリスクをおかさないと元本保証型を売れないのが現実であったなら、これもそのうち販売中止となるかもしれませんね。いくら売れ行きが良くとも、メーカーの利益にならない商品は消えていきます。
ではまた元本保証などない、顧客がリスクをとる投資型の(ファンドスイッチが可能な)変額年金保険に趨勢が戻っていくか…というと、そんな風にもならないでしょう。きっと、変額年金保険という商品ジャンルがなくなっていくのではないかな…などと、漠然とした危惧を持っている今日この頃です。
そう考えると、今なお現存しているファンドスイッチのできる変額年金保険って、貴重な存在なんですね。加入している顧客がいる限りは生保も契約を維持していかなくてはなりませんから。