※このコラムは5/15に執筆し、発注元の業者様の了解を得て掲載するものです
【バフェットは分散投資をしない】 世界一の投資家というと、誰もがウォーレンバフェットを思い浮かべるでしょう。でも彼が世界中から賞賛を集めるのは世界一の資産家だからではありません。彼が尊敬されるのは、この難しく厳しい株式投資の世界において、確固たる投資哲学を持ち、実際にそれを実践し、そして世界の誰よりも成功を収めた投資家だからです。 そのバフェット自身の投資法を検証すると、分散投資を否定しているところがたいへん面白く、興味をひかれます。
分散投資というのは、日本では最も重要視されている投資手法で、一般投資家から専門家の隅々まで浸透した王道的スキルといってよいと思います。そして分散投資の効果を否定する人になど、まずお目にかかれません。 それを投資の世界の頂点にいるバフェットが否定しているとしたら、投資家なら一度はその理由にじっくり耳を傾けてみるべきでしょう。
バフェットの考え方とは合致しないかもしれませんが、実は筆者も常々「分散投資に頼った投資」を否認して参りました。そして分散投資は、基本的に「非効率で妥協的な投資方法」にすぎないと考えているため、実際の投資助言の仕事でも(特に理由がなければ)採用することはありません。
【分散投資は非効率かつ妥協的!?】
仮にあなたが神のお告げを拝受して、株式のA銘柄が1ヶ月後に2割値上がりをしていることがわかったとします。そしてあなたが1000万円の軍資金を持っていたらどうでしょう?
それでもA銘柄、B銘柄、C銘柄に分散投資をしますか?…するわけがありませんよね!
1ヶ月後に2割増しになるというという確証を得たなら、あなたは迷わず全額をA銘柄に投じるはずです。 でも、神様が一切銘柄情報を教えてくれず、「あなたが今持っている1000万円を株式投資で2割殖やせたらいずれ天国に召しましょう。でももし2割減らしたら地獄に落とします。」…そんなふうに告げられたらどうでしょう?
あなたはまさしく命がけの株式投資を受けて立つことになります。
あなたがそうするかどうかはわかりませんが、多くの方は、天国へ召されることより地獄へ行くことを恐れてリスク分散に狂奔することでしょう。そして3銘柄…いやもっと…5銘柄、10銘柄と分散投資の銘柄数を増やしていくに違いありません。
ものすごく変な例えでしたが、実はここに重要なポイントが隠されています。 要するに「どの銘柄を買ったらよいかまったくわからない」から、多くの人が分散投資をするのです。分散投資とは投資対象の選択ができない人のために用意された投資手法といって良いでしょう。
また「時間分散」というのも同じ理屈です。それは「いつ買ったらよいかわからないから時間をずらして少しずつ買う」という手法ですし、「ドルコスト平均法」というのも、安いところで買う自信がない人のための妥協的方法論だといえます。
【分散投資の真の効果とは】 では分散投資の、その機能について検証してみましょう。株式の激しい価格変動を軽減したい場合には、値動きの違う銘柄を併せ持つことでリスク(ブレ)を減少させることができます。 実際にはありえませんが、相関係数がマイナス1…すなわちまったく逆の値動きをする株式の銘柄を2本保有するとブレは完全になくなり、残高曲線は一直線になります。実はこれが、分散投資が狙った効果が最大限に発揮された状態です。
でも、これでよいのでしょうか?
株式投資の目的とはブレをなくすことだったでしょうか?
これだけでは、残高のデコボコがなくなっただけ。資産が増えるとか減るとかには関係がありません。もしデコボコがなくなっても、一直線の残高線が右肩さがりであったらこの投資は失敗です。
【投資にはエネルギーが必要】 ここからは筆者の持論です。投資で成功をするには、気休め的処置を施して資金を放置しておくのではなく、実際に値上がりをする銘柄を探し当てるか、もしくは狙った投資対象のタイミングを計り、安く買って高く売るという行動様式をとるしかありません。 考えてもみてください。誰しも小さい頃から「楽をして儲ける方法はない」というフレーズを聞かされて育って来たはずです。 金融商品にお金を入れて放っておいたら預金の何十倍も利息がもらえ、しかも分散投資をしているから大丈夫…そんな甘っちょろい魔法の言葉に、なぜこんなに多くの国民が心を許してしまったのでしょうか。
確かに、誰でもがバフェットになれるわけではありません。でも投資を志すのであれば投資の本質とまっすぐ向き合うべきですし、真摯な態度で経験を積むうちに学びも深くなっていくはず。結局この世界も、一歩一歩進むことしかないのだと思います。
【まとめ】 最後に、先に述べた「分散投資は非効率で妥協的」の意味を総括しておきます。 ひとつの投資対象の値上がりに確信をもつことができたなら、誰も分散投資などしないのです。最も効率の良い投資は集中投資。これと決めた投資対象に、確信をもてるタイミングで、心をこめて資金を投ずるのです。 分散投資をしてしまうと投資の醍醐味を放棄したことになり、気休めであるリスク(ブレ)の軽減と引き換えに、成功するチャンスを最初から失ってしまっています。妥協的と申し上げた理由はここにあります。
色々生意気を申し上げてまいりましたが、それらは全部、投資顧問を専門とするFPとして、毎日毎日マーケットと真剣勝負を展開する中で知り得たことです。そして、投資に対して楽観的にすぎる方々に対して警鐘をならし、投資の本質や真の楽しさをお伝えすることが自らに与えられた使命だと考えております。 確かに株式投資は難しく奥深いものです。でもどんな芸術も文化も、ビジネスもスポーツも、実際は難しく奥深いもの。簡単に一流になれるものなどひとつもありません。株式投資が面白いのも、それが難しく奥深いからこそなんだと思います。
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