株式 ETF 確定拠出年金 システムトレードで財産形成 

 

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       金融パニックと確定拠出年金

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※このコラムは10/20に執筆し、発注元の業者様の了解を得て掲載するものです

【確定拠出年金には過酷な季節】

 この1年間を振り返ってみると世界中の株式市場はまさに大混乱でした。筆者もこれほどの事態は想定しておらなったために、日経平均株価が18,300円から6,994円と半分以下になったことには、かなりびっくりいたしました。こういう環境下では、投資信託(以下ファンド)で投資する確定拠出年金の運用も難しい局面の連続だったはずです。
 でも確定拠出年金では、運用資金を自分で選んだファンドに投入できます。ですから、今回の日本株のような暴落するファンドは避けて、上手にファンドを選択できればリターンを得られるチャンスはあったはず…ですが、(失礼な聞き方になるかもしれませんが)この1年で成績がプラスだった方はいらっしゃいますか?
 おそらくこの1年に限っては、積極投資を試みられた方の大半の方の運用成績がマイナスだったのではないでしょうか? なぜなら、確定拠出年金で用意されたファンドは、(預金や保険商品は除きますが)ことごとく値下がりをしたと思われるからです。

 前回のコラム「百花繚乱のETF」では、ETF(上場投資信託であれば「空売り(※1)が可能なために、下げ相場でも利益追求ができる」などという話をいたしましたが、残念ながらETFは証券口座の中でしか取引できず、投資信託でありながらも確定拠出年金のラインナップには入っていません。
 そして確定拠出年金の運用は、「一般的な投資信託(ファンド)の値上がりに期待をして、バイ&ホールドをする」のが基本的なスタイルです。言いかえると、バイ&ホールドでリターンを得るためには、投資先のファンドが値上がりをしないとだめなのです。ですから、もし全てのファンドが値下がりをしてしまうような昨今のような環境下では、運用成果に期待することには、無理があったということになります。

(※1)通常の株式投資では、まず先に株を買って保有し値上がりした後で売却して利益を手にするが、「空売り」では「まず株券を借りてきてそれを先に(高い株価で)売り、値下がりをした後に安い株価で買い戻す」というスキームを使うため、株値下がり局面でも利益を得ることができる


【株式市場暴落時の対応方法】

 それでは確定拠出年金の運用にあたって、主要なファンドの全てが値下がりするような局面ではどうすれば良いのでしょうか?ただ残高が減っていくのを眺めていることしかできないのでしょうか?
 もちろんそんなことはありません。そんな時こそ、どの確定拠出年金の制度にも必ず用意されている預金年金保険などの、元本保証系の投資先を積極的に活用すべきなのです。
 投資運用には「攻める時」と「守る時」があるものです。調子の良い時も悪い時も、いつでも同じペースで攻め続けるのは得策ではありません。これらの元本保証型の投資先は、けっして「どこに入れたらよいかわからない人」のためにラインナップされているのではなく、株や債券の運用にとって環境が悪化した時に、「守る投資」を実践するために用意されている…少なくとも筆者はそう理解しています。

 実際に(計画的だったか偶然だったかは別として)預金に全額を入れっぱなしだった方は、日経平均株価が半額に値下がりしてもまったく無傷だったはずで、これこそ「守る投資」を実践していたことになります。一方「日本株のファンド」に全額入れっぱなしだった方のダメージは大きく、損失を取り戻すのに数年かかる可能性もあるでしょう。
 確定拠出年金の定年時の資産残高が2,000万円の人と4,000万円の人の違いが、歴史的な株価暴落時に、たまたま日本株に入っていたか預金に入っていたかの違いにすぎなかった…こういうことも起こりうるわけです。

【エネルギーをかけずに運用効果を得るには】

 ファンドの値上がりに期待ができない時は「守る投資」に徹するべき…そう書きましたが、では実際にどういう時に守り、どういう時に攻めればよいのでしょうか?
 実はこの命題こそが、投資運用に携わる方々の最大かつ永遠のテーマなのです。いつ買えば儲かるのか、いつ売れば守れるのか、これは多くの専門家が人生を賭して研究をしている課題で、投資の初心者が答えを簡単に見つけられるものではありません。
 でもこのコラムの結論がそれであったら、ここまで丁寧に読んでくださった方が報われませんので、コラムの最後に筆者が考える具体的な戦略論をまとめておきます。

 投資運用に対して意欲があって、手持ち資産を積極的に増やそうという方にはそれなりのアドバイスがありますが、ここではごく一般的な 「投資運用にはほとんど時間やエネルギーをかけたくない」 という方々に対して、「守る投資」を押さえた確定拠出年金の扱い方を整理してみましょう。

<通常時にお勧めするファンドポジション>
平時には少なくとも性格の違う2本以上のファンドに分散投資してください。運用資金を寝かせることを避けて「預金」等は使用せず、30〜50%程度の一定割合を株式にも当てるようにします。
※ファンドの選び方については、第 XX 回のコラム「初心者に優しいファンド運用の手法」に説明がありますが、基本的には日本株系のファンドと外国債券系のファンドの組み合わせをお勧めします。

<守るべき時にお勧めするファンドポジション> 
今回のような異常事態が発生したら全額を「預金」等に退避させてください。この守る投資に切り替える際のマーケットシグナルは以下のとおり。
  1. 経済統計(GDPなど)が長期的に大きく悪化する予測が立った時
  2. 「日本株の下落」と「為替レートの円高」が同時に大きく進行した時
※あくまでも目安にすぎないため、投資に当たって自己責任原則を徹底することはお約束です。

 筆者が長年マーケットと戦ってきたデータを根拠にすると、最もたやすくマーケットに対応できる方法論がこれです。少なくともこれを実践していれば、資産バブル崩壊も、ITバブル崩壊も、今回のサブプライム問題を端緒とする金融パニックにおいても、守り通すことができたはずです。

【まとめ】

 そもそもお金というものは、エネルギーをかけないで手にできるものではありません。投資信託を買ってただ放っておけば残高が増えているようなものでないことは、今では日本中の人が知っています。
 しかし、資金を長期間にわたって積み立て投入しながら、投入するファンドを選定しつつ複利運用できるこの確定拠出年金という仕組みは、大きな財産を作るための条件を備えているように思えます。何もつきっきりで運用をすべきだと言っているわけではありません。「ちょっとした基準を持つか持たないかで結果が倍も違ってくる世界ですよ」…そういうことをお伝えしたいのです。


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