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【投資に失敗をした日本人】
預貯金しか知らなかった日本国民が、ついに投資の世界に足を踏み入れました。増加した証券口座の数や、投資信託の資産残高を見ると、気の遠くなるほどの国民の預貯金が投資に回ったことがわかります。そしてその矢先のこのサブプライム問題…。日本国民はさっそく投資で手痛い失敗を経験したようです。
今回現象として厳しかったのは、ほとんどの投資先(アセット)がそろって大きく下落をしたという事実です。日本株を筆頭に、世界株、不動産投信(REIT)も暴落、為替の円高進行によって外貨建ての投信や外貨預金までが大きく評価を下げてしまったのです。そして最後には頼みの中国など新興国の株までが急降下してしまいました。
唯一、原油や金、穀物などの商品投資の世界では高騰するものも多かったですが、一般投資家からすれば商品投資はまだまだ未体験ゾーンです。よほど進んだ投資家でないと商品投資への分散投資には及ばなかったでしょう。
要するに日本国民の立場から見ると、この半年間はリスクを取る投資商品がほぼ全滅だったわけで、逃げ場がなかったと言えます。元の預貯金で資産を持っていた方…すなわち積極的にことを起こさなかった保守的な方だけが救われたということになりますから、まったく世の中とは皮肉なものです。
今回の“世界同時総アセット下落”は、世界を駆け巡る投資マネーが総体として大幅縮小したために起こりました。こういう時は、一般投資家も投資商品から機動的に資金を引き揚げて預金や現金に変えておくべきだったのです。
臆さずに言うと投資顧問業者の筆者は、サブプライム問題が表面化して以降多くの顧客に「預金系資産への退避」をアドバイスしておりましたので、ダメージは比較的少なく済みました。機動的な対応が功を奏したと思っています。
【投資信託の限界】
日本国民が多く購入したのは圧倒的に投資信託でした。この投資信託は、いったん買ったら長期保有するのが一般的なスタイルで、このような下落場面を回避するのが難しい範疇の資産です。せっかく経済ニュースに精通して世界の株式に危機感を感じたとしても、持っているのが投資信託ばかりだったら、結局手を打てずに暴落を受け入れることになってしまうのです。
それを避けるために、投資信託を解約し。そしてまた購入し…ということを繰り返すと、販売手数料の負担で、資産残高はどんどん目減りしてしまいます。利益にはその都度税金もかけられますから、やはり投資信託は長期保有が大前提。よって今回のような暴落に遭遇すると、わずかな期間に3割も財産を減らすことにもなりかねないのです。資産バブルの崩壊、ITバブルの崩壊時の減少幅は3割どころではありませんでしたが、今回の減少幅が3割で済む保証があるわけでもありません。
また今回のマーケットを見ていて、様々な投資信託を併せ持つ 「分散投資神話」
にもはっきりと限界を感じました。せっかくの分散ポートフォリオも、全てのジャンルの投資信託が下落したのでは分散効果は希薄です。「長期で保有すればポートフィリオ理論(有効フロンティア)が正当化されるはずだ」という声も聞こえそうですが、この世界の投資マネーが異常膨張した世界では、過去の経験則とは多少事情が違っているかもしれません。
そしてさらに付け加えるとしたら、10年もの長期にわたって好成績を維持している投資信託は存在しません。長期投資が前提の商品なのに長期で収益が安定しているものがないとすれば、何かそこには根源的な問題点が横たわっているように思えます。
投資信託を販売する立場の方々に目を転ずると、また別の問題も見えてきます。まず金融機関の窓販で投信を買ったお客様に対し、購入後のアドバイスはほぼ行われておらず、いわゆる売りっぱなしの状態になっている恐れがあります。大勢の方がお困りになっているのは間違いがありませんが、誠意ある対応がなされているでしょうか?
証券仲介業者の方との情報交換の中からも構造的な問題を発見しました。証券仲介業者は、投資信託を最低でも数億円単位で顧客に保有してもらっていないと収入が安定しません。よって一度販売した投資信託には、むしろ触りたくないという気持ちが働くとのことです。よって機動的な資産のメンテナンスはかなわず、この度の下落局面でも黙って下落を受け入れるアドバイザーが多かったと伺いました。
【機動的な投資スタイル】
筆者の顧客が機動的に投資商品から退避できたのは、コストをかけずに、また機動的に資金を預金に移動できる資産で運用していたからです。では、どのような投資先ならばそれが可能なのでしょうか?
筆者の顧客は、大半の方が変額年金保険・株式・ETF(上場投資信託)に資金を入れています。コストをかけずに、もしくは低コストで機動的に資金移動が可能なものばかりです。よって、そんなに頻繁ではなくても、今回のように「サブプライム問題のような根深そうなリスク」を感じた時は、いったん預金などに全ての資金を退避させて様子を見ることが可能なのです。
上記のうち変額年金保険については、最近発売されるものは 「販売側は売りやすいが資金移動ができない商品」
ばかりになってしまったので、ここではETF(上場投資信託)を取り上げることにいたします。
【インデックスファンドとETF】
同じ投資信託でも、良心的なアドバイザーなら、販売手数料や信託報酬の安いインデックスファンドを推奨してくれます。インデックスファンドとは、(例えば株式関連のものであれば)日経平均株価や東証株価指数などの指数に連動する運用を目指し、実際にほぼそれらと連動した運用実績となっています。要するに「指数の値動き程度のリスクはあるが、一般的な株式の投資信託よりは値動きが若干やさしい」という特徴を持ちます。
しかしインデックスファンドであっても、やはり購入時には一般の投資信託に近い販売手数料がかかりますので、売ったり買ったりするとコスト倒れになってしまいますので、長期保有型の商品と言えます。
一方ETF(上場投資信託)はというと、運用成果についてはインデックスファンドとほぼ変わりません。例えば日経平均連動型のETFは日経平均連動型のインデックスファンドと同じような値動きとなります。違うのは購入や売却にかかるコスト。このコストの差は特筆すべきもので、それがETFを推奨する理由になっています。
例えば100万円でこれらの商品を購入するケースでコストを比較してみましょうか。
インデックスファンドを購入する時には、金融機関に対し、消費税別で2%…すなわち2万円程度の販売手数料がかかります。一方ETFは、上場投資信託という名のとおり上場株式の個別銘柄と全く同じように売ったり買ったりができますので、売買にかかるコストも株式と同じ。すなわち、100万円分のETFをネット証券で買った時の手数料はたったの数百円で済んでしまいます。
投資信託につきものの信託報酬についても、インデックスファンドの年間0.5%前後に比べてETFはその半額程度でほぼ無視できる範囲。
要するに、売っても買ってもその都度数百円、年間の信託報酬もせいぜい2千数百円…これならまったくコストを気にしないまま機動的な資金移動が可能になるというわけです。
【ETFの市場は拡大する】
投資家が投資運用に精通してくれば、このETFのメリットを良く理解することになるでしょう。金融大国の米国では、一足先にこのETFの残高が爆発的に増えたようです。米国の2007年のETF残高は前年比で5割近く伸び、6000億ドル…すなわち64兆円ほどに膨れ上がりました。そもそも米国の投資信託残高は1000兆円を超えているのですが、中でもこのETFの伸びは際立っていました。
日本でも、投資信託の残高が80兆円に増幅する中、ETFも4兆円規模に拡大中です。この進捗率が加速度的に増幅する様子を見ると、今後も日米ともにこのETFの市場は急拡大していくことでしょう。
コストが安いことや気軽に証券取引所で売買ができることに加え、ETFには投資先のバリエーションの広がりにも大いに期待ができます。今後は海外投資、商品投資など、従来ではなかなか手の出せなかった分野への投資が、このETFを通じて可能になっていくと思われます。
昨今の投資の失敗を教訓にして、これからの投資はよりグローバルに、より機動的に行うよう心掛ける必要があると考えます。そんな中では、このETFを上手に活用することがポイントとなってくることでしょう。
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